ネタまとめから、日の出町に住みたい元就
最近現パロばっかですみません…
元親は酷く困惑していた。目の前の元就が、今にも溢れんばかりの涙をその双眸に浮かべていた。
「…我は、こればかりは譲らぬ」
「……って言ってもよぉ…」
震えた元就の声を聞いて、元親は溜め息を吐きながら頭を掻く。先ほどからもう何時間もこの調子で、一向に話に決着がつかなかった。
出来ることならば元就の要望を聞いてやりたいのだが、しかしそうすれば今の家よりも職場まで遠くなってしまうのだ。この際自分の要望は考えないとしても、元就の願いを叶えてやること自体容易ではない。
「横浜までたったの四分ぞ!」
「俺は更にその先に行かなきゃいけねえんだって、毎日…お前だって遠くなるだろ?」
「……だが我は……ぐすっ」
「…ああーもう…」
抱き締めてやっても元就はぐずるのを止めず、ついに涙を零し始めたので元親は益々焦った。頭を撫でてどうにか宥めすかそうとするが、まさかいつも冷静沈着な男がこんな風にめそめそと泣く姿は想像だにしていなかったので、正直もうどうすればいいのかわからなかった。
「元就ぃ~…泣くなよ…」
「うっ、うっ…」
子供と美人の涙には滅法弱い元親である。自分まで泣きたくなってきて、元親は元就の頭に鼻先を埋めた。
「…もう、同棲でなくとも良い…我は一人で日の出町に住む」
「ええ!?ちょっ、それは駄目…っていうか俺が今までどれだけの苦労を重ねて同棲まで持ち込んだと思ってんだ…!」
「……………ならば我と共に日の出町に住もうぞ…?」
「……う…うう……」
うるうると瞳を揺らして上目遣いに見つめてくる元就は、押し倒したい程に可愛かった。しかし今この場でそんなことをしてみれば、真面目に話し合う気がないのか!と激怒されて、折角の元就との同棲がおじゃんになってしまう。それだけは何とかして避けたかった。
元親は、必死で元就から目を逸らすと、元就をきつく抱き締めた。
「…わかった、元就。まだ決定じゃねえけど、日の出町も候補に入れよう」
「!誠か!」
「うん…」
だから中野と秋葉原も候補に入れさせてくれな、と小さい声で言うと、元就は少し不機嫌な顔で唇を尖らせたが、まあよい、と涙を拭いた。
まだ何一つ解決していないが、元就が泣きやんでくれたことに兎に角安心する。
「もう泣くなよ」
「誰が泣かせておるのだ」
「え…俺なのか…?」
元就の頭を撫でながら、首をかしげる元親であった。