明日くらいにもうちょっと真面目に書いたやつ上げる予定です~!そっちはなんかホモホモしいやつ。
とりあえずお暇つぶしにどうぞ…(__)
にょ就ぽいけど男のままで読んで下さってもだいじょぶです。
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「長曾我部は抹茶が嫌いらしい」
椅子に横向きに腰掛け、後ろの毛利の机で頬杖をつきながらぼーっと窓の外を眺めていた俺の耳に、それまで黙々と読書をしていた毛利の声が飛び込んできた。
俺的にはかなりどうでもいい話なんだが、こいつから話し掛けてきたことがとても珍しくて、俺は思わず「へえ、そうなのか」と返してしまった。長曾我部と言うのはこいつの彼氏で俺のダチだ。高校に入ってから仲良くなった元親――長曾我部の名前だ――が、毛利に一目惚れした所から二人の関係は始まった。毛利と中学が一緒だったと言う理由で紹介をせがまれた俺は、つまりこいつらのCupidと言うわけである。そうでもなきゃ、あの元親がこんな人気のない放課後の教室で、自分以外の男と毛利を二人きりにさせるなど有り得ない。
「だから今度のバレンタインには、抹茶の菓子を作ってやろうと思っている」
「…え…いやいや…嫌いなんだろ?」
「だからよ」
…うーん…。
毛利は時々わけがわからねえ。たまに、つうか結構頻繁に元親のこと嫌いなんじゃねえかと思わせるような事を言ったり、嫌がらせに近い行動をしたりする。
今みたいに嫌いな食べ物をあえて食べさせようとしたり、元親とは情けで付き合っているとか、SEXが下手過ぎてつまらないとか、そういうことを俺に言う。お前こんなことを言われていたぞ、なんて俺から元親に伝えるのは筋違いだと思うから俺は毛利の愚痴を聞くだけだし、毛利も俺が元親に言わないことを分かっているから俺に話すのだろう。じゃあ別れればいいじゃねえかと返しても、情が湧いたから、と言ってよく話を打ち切った。毛利は一体何がしたいんだよ。
「抹茶と見せ掛けてワサビをふんだんに使ってもよいな」
「…アンタなあ…大体匂いでわかるだろ」
「あやつは我の手作りであれば何でも食べる」
「………そうかよ」
不思議だ。面倒臭いからこいつらの関係を気にかけてやるつもりは毛頭ないが。
「あと、あの男はホワイトチョコレートが好きらしいな」
「…ふうん」
んなこと知らねえし、正直興味もねえ。
「ホワイトチョコレートにワサビを混ぜるか…」
「……………Oh…」
crazyだな。
とかなんとか言っておいて、毛利の奴は。
「え?元就から?当たり前だろ」
「……どんなチョコ?」
級友の前田から聞いた話ではなんでも、元親と毛利は、十四日に駅前の公園のベンチで仲睦まじく談笑していたらしい。おまけに毛利は学校での地味な制服姿からは想像出来ないような、清楚で華美になりすぎないながらも、思わず人目を惹くようなお洒落な姿で元親の隣にいたのだと言う。まあ当然、そこでバレンタインデーのチョコレートを渡したってことだよな。例の…ワサビがどうとかっていう。
なのに―――――信じられるか?
「ホワイトチョコのムースだよ。スゲー美味かったし元就可愛いしで最高だったぜ…」
「……………」
「俺がホワイトチョコ好きだって言ったら作ってくれてよ~、俺って世界一の幸せ者だよな」
なあ…俺、もしかしてからかわれてたのかな。いや、俺をからかって何になる。毛利が無駄なことを嫌う奴なのは十二分に知っているからそれはない。
じゃあなんだよ。
「…今朝一緒に登校してたのは日曜の夜に泊まりか?」
毛利は別のクラスだが、別れ際は今まで通りにあっさりしている、と言うか冷たかった。俺に対してじゃない、元親に対してだ。付き合っていることを疑いたくなるほどに、つまり普段通りだった。
「ああ、…昨日よ、いつも以上に気持ち良かったのか元就の奴、泣き喚いて失神しちまってさ」
元親はSEXが下手だとか散々愚痴ってたじゃねえか。
「え…なんか、俺はてっきり…毛利はお前のことあんまり好きじゃねえのかと…」
「はあ?何でだよ」
「いや…その」
何でと言われても、
「そもそも、お前に紹介してくれって頼んだのは俺だけど、その後告白してきたのは元就からだぜ」
……Shit!