親就が熱い
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我が家でも祖母を迎えてさっき送り火を焚きました~来年も帰ってきてね
てことで本当は、「へっへっへ…漸くあんたを捕まえたぜ…あの世になんて誰が帰すか!」「なっ、長曾我部貴様っ…やめよ、ならぬ……アッー!」
ていうアニキ×幽霊もーりのアホな話書こうと思ってたんですが、どうせなら3アニキストーリーの補完にしようと…予想GUYにしんみりしてますが自分的には凄くハッピーエンドに近いっていうか
あとすみません…なんかいつも以上に雰囲気なだけの話です…元就幽霊です
早く生まれ変わって幸せにおなり!
若干3ネタバレありです~ご注意ください
それから拍手ありがとうございますーー!!後ほどお返事させていただきます~´▽`*
************************************
三年前に死んだ毛利元就が隣にいる。あの時この男が死んだことを俺は確認したし、そもそも毛利を殺したのはこの俺だった。
直前に「忘れる」と言って怒らせた。毛利は多分、俺が毛利のことを忘れていると本気で思っている。
「もう盆も終いか」
「そうだな…あの世ってのは、ここより居心地がいいもんなのかい」
「静かで何もない所よ。未だ親族の一人も見つからぬ」
毛利の身内は、毛利がまだ若い頃に全員死んだと聞いていた。そんな身の上話をするくらいには知り合いだったことを思い出すと、何故あの時あんなことを言ってしまったのかと――――否、後悔はしていない。
毛利は乱世に生きる武人として当たり前のことをした。国を護るその過程で俺の故郷を潰した。非道な行いだと今でも思うが、毛利が死んだあとから面倒を見るようになった中国の民を見れば、毛利が良い国主だったと言うことはすぐにわかった。
「世話になったな。見ず知らずの亡霊ごときに情けなど…」
「気にすんなよ、俺もなんだかんだ楽しかったからよ」
「……そうか」
死んだ野郎共が帰ってこれるようにと焚いた迎え火に誘われるようにやってきたのは毛利だった。幽霊になった毛利と数日間一緒にすごして、茶を飲んだり海を見たりしたのは思いの外楽しかったんだ。
生きてた時には、こんなこと絶対に出来なかったろう。俺も、あんたも。
「なあ」
送り火を焚き始めた頃、毛利、と呼びかけたが喉の奥に押し留めた。
「あんた、名は何てんだい」
来年の盆も、俺が生きていたらこの場所に帰ってこい。忘れると言った手前、それを曲げられない俺は、対毛利限定だが相当の意地っ張りだ。
「……名など忘れたと申したであろう」
そして、知ってはいたが、あんたも俺以上の意地っ張りだ。
「…じゃあ、元就って呼んでいいか」
「――――――、」
毛利が僅かに目を見開いた。
「なんでか、あんたを見てたらそんな名前が浮かんだんだ。元就…いいだろ?」
生きていた時には出来なかったことをしたい。あんたと二人で。
だからと言ってあんたを殺したことは本当に後悔していないんだ。忘れられるはずもないあんたを忘れると言ったことも、今目の前にいるあんたを忘れた振りをしていることも。
「………勝手にせよ」
「おう」
ただ一つだけ、あんたに触れられないことが――――。
「アニキ、漸く元に戻ってくれたんすね!」
盆が終わると野郎共が揃って胸を撫でおろした。どういうことかと聞けば、野郎共には毛利が見えていなかったらしい。
通りで皆の様子が変だと思ったら、俺がおかしく見えていたのか。
「アニキが見えない何かにあの世に連れていかれちまうんじゃないかって、皆心配してたんすよ」
「…はっは、そんなわけねえだろ」
「何事もなくてよかったっす」
安心しきった笑みを零す野郎共を置いて死ねるわけがない。それにあの世は何もない静かな所なんだろう、俺に耐えられるかどうか。
「……………元就」
でもそれ以上に、来年の盆までの一年が長いな。
てことで本当は、「へっへっへ…漸くあんたを捕まえたぜ…あの世になんて誰が帰すか!」「なっ、長曾我部貴様っ…やめよ、ならぬ……アッー!」
ていうアニキ×幽霊もーりのアホな話書こうと思ってたんですが、どうせなら3アニキストーリーの補完にしようと…予想GUYにしんみりしてますが自分的には凄くハッピーエンドに近いっていうか
あとすみません…なんかいつも以上に雰囲気なだけの話です…元就幽霊です
早く生まれ変わって幸せにおなり!
若干3ネタバレありです~ご注意ください
それから拍手ありがとうございますーー!!後ほどお返事させていただきます~´▽`*
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三年前に死んだ毛利元就が隣にいる。あの時この男が死んだことを俺は確認したし、そもそも毛利を殺したのはこの俺だった。
直前に「忘れる」と言って怒らせた。毛利は多分、俺が毛利のことを忘れていると本気で思っている。
「もう盆も終いか」
「そうだな…あの世ってのは、ここより居心地がいいもんなのかい」
「静かで何もない所よ。未だ親族の一人も見つからぬ」
毛利の身内は、毛利がまだ若い頃に全員死んだと聞いていた。そんな身の上話をするくらいには知り合いだったことを思い出すと、何故あの時あんなことを言ってしまったのかと――――否、後悔はしていない。
毛利は乱世に生きる武人として当たり前のことをした。国を護るその過程で俺の故郷を潰した。非道な行いだと今でも思うが、毛利が死んだあとから面倒を見るようになった中国の民を見れば、毛利が良い国主だったと言うことはすぐにわかった。
「世話になったな。見ず知らずの亡霊ごときに情けなど…」
「気にすんなよ、俺もなんだかんだ楽しかったからよ」
「……そうか」
死んだ野郎共が帰ってこれるようにと焚いた迎え火に誘われるようにやってきたのは毛利だった。幽霊になった毛利と数日間一緒にすごして、茶を飲んだり海を見たりしたのは思いの外楽しかったんだ。
生きてた時には、こんなこと絶対に出来なかったろう。俺も、あんたも。
「なあ」
送り火を焚き始めた頃、毛利、と呼びかけたが喉の奥に押し留めた。
「あんた、名は何てんだい」
来年の盆も、俺が生きていたらこの場所に帰ってこい。忘れると言った手前、それを曲げられない俺は、対毛利限定だが相当の意地っ張りだ。
「……名など忘れたと申したであろう」
そして、知ってはいたが、あんたも俺以上の意地っ張りだ。
「…じゃあ、元就って呼んでいいか」
「――――――、」
毛利が僅かに目を見開いた。
「なんでか、あんたを見てたらそんな名前が浮かんだんだ。元就…いいだろ?」
生きていた時には出来なかったことをしたい。あんたと二人で。
だからと言ってあんたを殺したことは本当に後悔していないんだ。忘れられるはずもないあんたを忘れると言ったことも、今目の前にいるあんたを忘れた振りをしていることも。
「………勝手にせよ」
「おう」
ただ一つだけ、あんたに触れられないことが――――。
「アニキ、漸く元に戻ってくれたんすね!」
盆が終わると野郎共が揃って胸を撫でおろした。どういうことかと聞けば、野郎共には毛利が見えていなかったらしい。
通りで皆の様子が変だと思ったら、俺がおかしく見えていたのか。
「アニキが見えない何かにあの世に連れていかれちまうんじゃないかって、皆心配してたんすよ」
「…はっは、そんなわけねえだろ」
「何事もなくてよかったっす」
安心しきった笑みを零す野郎共を置いて死ねるわけがない。それにあの世は何もない静かな所なんだろう、俺に耐えられるかどうか。
「……………元就」
でもそれ以上に、来年の盆までの一年が長いな。
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おはようございまーす!
今日晴れ?てるみたいでよかったー!´▽`夏コミ参加される方は楽しんできてくださいー!^▽^*
そして以下、かんべスト元就ルートのその後なのでネタバレ注意
これもこないだの会合で会話に出たセクハラ元就の最終形態みたいな感じです…うおおおおってなるの木馬さんがおっしゃっていたんですがヤケクソかんべ可愛いいいいいあああ
あとなんか無駄に元就がビッチになってもーた…自分から迫るのは大丈夫なんですけどね
今週末は黒毛のエロとか書きたいです
関ヶ原を制覇した。積年の夢はついに達成された。
天下統一!盟友、北条氏政と共に手に入れた日ノ本に自由の光を見た官兵衛だった――――が、掲げた両腕を塞ぐ手枷はびくともしない。喜びから我に返ると、目前に迫っていた自由が一気に遠退いた気がした。
「そうだ、毛利に聞けばいいんだ」
鍵のありかについて頭を捻れば、そんな結論が出て官兵衛は顔を明るくした。
「なんじゃ、毛利を生かしておいたのか」
「逃げられたと言う方が正しいが…」
しかし元々殺すつもりはなかった。官兵衛を穴蔵に閉じ込めたのは豊臣勢だし、色々と利用されはしたが殺したい程元就を恨んでいるわけではない。
だが天下統一したからと言って彼等の運気が上がりきったわけではなく。
「毛利の居場所はわかっとるのか?」
「………わからん」
「……………」
二人はため息をつきながらがっくりと肩を落とした。
激動の関ヶ原を経て一蓮托生の仲となった官兵衛と氏政だが、氏政の年齢が年齢なだけに鍵探しは難航した。一人の時のように危険な場所へ容易には入っていけないし、すぐに氏政の体力がなくなるので必然的に休憩時間が多くなり、そして鍵を探す時間が減った。
暫くは仕方がない、とそうしていたが、やがて官兵衛は元就のいそうな西へ向かうため、風魔に頼み氏政を小田原城に帰して単身厳島を目指した。
ここに来るのは久しぶりだ。美しい朱の大鳥居は変わらず壮大で、官兵衛は暫し見入った。
永遠に続くような空と海、美しい風景の中で一際光彩を放つ厳島神社は、何故だかかの人を官兵衛の脳裏に思い浮かばせる。
元就はいるだろうか。
「おおーい!」
暫く氏政のスローペースに付き合っていたせいか、鍵探しに躍起になっていた少し前よりは心に余裕ができた気がする。手枷に繋がる鉄球を引きずるのはやめて、両腕に抱えるとゆっくりと廊下を踏み締めた。
「おーい、毛利よ」
「……………」
「久しぶりだな」
本殿にたどり着くと、果して元就はいた。能舞台で座禅を組んでいた彼は、稚児衣装のような若草色の水干を纏い、顔には金色の面紗をつけていたが、毛利元就の象徴とも言える烏帽子に似た兜は被っていない。
兜と鎧袖がないだけなのに驚くほど元就が小さく見えて、官兵衛は何となく落ち着かなくなった。
天下分け目の関ヶ原で負かした男だ。元就は、官兵衛がここに来ることを予想していたように冷静だった。
元就が、ある程度の大事でさえも取り乱さなくなったのはいつからだろうか。
「我を殺しに来たか」
官兵衛の記憶の中の元就は、輪刀を振り回しながらやけにくるくると回っていて、半兵衛に遊ばれては激怒し、智将というには存外短絡的で、二言目には「死ね」「散れ」と叫んでいた姿しかない。こんなことを言えば今の元就とて怒るのは目に見えているので余計なことを言うつもりはないが。
「言ったろう、お前さんはもう丸裸なんだから今更殺す必要があるか」
「っ……」
元就が立ち上がりながら小さく震えた。
「…何故…」
「何故って…小生は別にお前さんを恨んでいるわけじゃ…」
「違う!」
すると元就は片耳に手をかけ、静かに面紗を取って床に落とした。元就の端正な顔が官兵衛の目に映る。
元就は歳を取って色気が増したか。それとも何だかんだと地下でむさ苦しい男達に囲まれていたせいで、元就に妙なときめきを感じるのか。
しかし孫市や鶴姫に会った時はこんな風にそわそわすることもなかったなあ、と思い返したが、自由になることに必死だった為に余裕がなかっただけかもしれない。
「毛利…」
「何故、我が丸裸だとわかったのだ…!」
「…え?」
官兵衛は思わず聞き返し、いつもの癖で一歩後ずさった。
「両手の塞がった貴様でも脱がせやすいようにとこの水干の下には何も着けておらぬ…それを見抜くとは……き、貴様もやはりその気か…!」
「なっ、なにいいいい!?」
よく見れば、元就は本当に頭から被る水干しか身につけていないようで、座っている正面の姿からではわからなかったが、脇やら脚やらチラリズムどころではない露出だった。
官兵衛はただ、決戦前に言った自分の言葉を比喩として元就に伝えたかっただけだが、あらぬ誤解が生まれていることを漸く知った。否、今まで散々セクハラを受けてきた相手に対して「丸裸」など軽々しく口にすればどうなるかなんてわかりきっていたことだ。
「毛利!言っておくが小生にそんな気はっ…」
「だが貴様に丸裸にされるならば我も本望…」
「何故脱ぐんじゃああーーー!!」
白昼堂々、一枚だけ被っていた水干を脱ぎ捨て、彫刻のような裸体を青空の下に晒す元就に、官兵衛は段々頭が茹だってきた。
「あ…あああ…くそ…」
そんな官兵衛などお構いなしに近付いてくる元就は、見た目だけで言えば天上に住まう女神のようであった。
しかし男である。こればかりは間違えてはいけない。
「駄目だっ、小生は…っ」
「黒田…」
「うっ…!」
太い腕にやわな手つきでさわさわと触れてくる元就に、官兵衛は致命的にも逃げる機会を失った。布切れ一つ身につけていない元就の素肌が何故か眩しい。
「う…うう…」
官兵衛はぶるぶると震え出した。
「…黒田…」
「うう…う…う…、」
元就が官兵衛の二の腕にぴったりと頬を寄せる。前髪に隠れて元就からは見えない両目は、官兵衛の心情を表すかのようにぐるぐると回っていた。
可愛いと感じている?元就を?
見下ろせば、すっきりと通った鼻筋と可憐な睫毛が見えた。少し口角の上がった小さな唇が官兵衛の腕に触れる。
元就は男で興味の対象外だ、元就は、元就は――――もう知るか!
「う……うおおおおおおおおお!!」
官兵衛は突然咆哮した。
「ああ…っ!」
「おおおおおおおおおおお!!」
ヤケクソだった。官兵衛は床の上に元就を押し倒した。
極度の混乱に陥った官兵衛に組み敷かれ、犯される、と言いながらも自ら脚を広げる全裸の元就は、どうにも普段の元就だった。そもそも元就を探して厳島まで来たことが既に、この結末への始まりだったのだ。そう考えれば、関ヶ原の一戦で負けたのもわざとで、全てが元就の作戦だったのではないかと思わずにいられない。
暫くして、手枷の鍵の情報を掴んだ風魔が官兵衛を追って厳島の大鳥居に降り立ったが、何故じゃあーー!!と叫びながら猛烈な勢いで腰を振る官兵衛を見つけ、無言で頷くとそっと姿を消した。
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これもこないだの会合で会話に出たセクハラ元就の最終形態みたいな感じです…うおおおおってなるの木馬さんがおっしゃっていたんですがヤケクソかんべ可愛いいいいいあああ
あとなんか無駄に元就がビッチになってもーた…自分から迫るのは大丈夫なんですけどね
今週末は黒毛のエロとか書きたいです
関ヶ原を制覇した。積年の夢はついに達成された。
天下統一!盟友、北条氏政と共に手に入れた日ノ本に自由の光を見た官兵衛だった――――が、掲げた両腕を塞ぐ手枷はびくともしない。喜びから我に返ると、目前に迫っていた自由が一気に遠退いた気がした。
「そうだ、毛利に聞けばいいんだ」
鍵のありかについて頭を捻れば、そんな結論が出て官兵衛は顔を明るくした。
「なんじゃ、毛利を生かしておいたのか」
「逃げられたと言う方が正しいが…」
しかし元々殺すつもりはなかった。官兵衛を穴蔵に閉じ込めたのは豊臣勢だし、色々と利用されはしたが殺したい程元就を恨んでいるわけではない。
だが天下統一したからと言って彼等の運気が上がりきったわけではなく。
「毛利の居場所はわかっとるのか?」
「………わからん」
「……………」
二人はため息をつきながらがっくりと肩を落とした。
激動の関ヶ原を経て一蓮托生の仲となった官兵衛と氏政だが、氏政の年齢が年齢なだけに鍵探しは難航した。一人の時のように危険な場所へ容易には入っていけないし、すぐに氏政の体力がなくなるので必然的に休憩時間が多くなり、そして鍵を探す時間が減った。
暫くは仕方がない、とそうしていたが、やがて官兵衛は元就のいそうな西へ向かうため、風魔に頼み氏政を小田原城に帰して単身厳島を目指した。
ここに来るのは久しぶりだ。美しい朱の大鳥居は変わらず壮大で、官兵衛は暫し見入った。
永遠に続くような空と海、美しい風景の中で一際光彩を放つ厳島神社は、何故だかかの人を官兵衛の脳裏に思い浮かばせる。
元就はいるだろうか。
「おおーい!」
暫く氏政のスローペースに付き合っていたせいか、鍵探しに躍起になっていた少し前よりは心に余裕ができた気がする。手枷に繋がる鉄球を引きずるのはやめて、両腕に抱えるとゆっくりと廊下を踏み締めた。
「おーい、毛利よ」
「……………」
「久しぶりだな」
本殿にたどり着くと、果して元就はいた。能舞台で座禅を組んでいた彼は、稚児衣装のような若草色の水干を纏い、顔には金色の面紗をつけていたが、毛利元就の象徴とも言える烏帽子に似た兜は被っていない。
兜と鎧袖がないだけなのに驚くほど元就が小さく見えて、官兵衛は何となく落ち着かなくなった。
天下分け目の関ヶ原で負かした男だ。元就は、官兵衛がここに来ることを予想していたように冷静だった。
元就が、ある程度の大事でさえも取り乱さなくなったのはいつからだろうか。
「我を殺しに来たか」
官兵衛の記憶の中の元就は、輪刀を振り回しながらやけにくるくると回っていて、半兵衛に遊ばれては激怒し、智将というには存外短絡的で、二言目には「死ね」「散れ」と叫んでいた姿しかない。こんなことを言えば今の元就とて怒るのは目に見えているので余計なことを言うつもりはないが。
「言ったろう、お前さんはもう丸裸なんだから今更殺す必要があるか」
「っ……」
元就が立ち上がりながら小さく震えた。
「…何故…」
「何故って…小生は別にお前さんを恨んでいるわけじゃ…」
「違う!」
すると元就は片耳に手をかけ、静かに面紗を取って床に落とした。元就の端正な顔が官兵衛の目に映る。
元就は歳を取って色気が増したか。それとも何だかんだと地下でむさ苦しい男達に囲まれていたせいで、元就に妙なときめきを感じるのか。
しかし孫市や鶴姫に会った時はこんな風にそわそわすることもなかったなあ、と思い返したが、自由になることに必死だった為に余裕がなかっただけかもしれない。
「毛利…」
「何故、我が丸裸だとわかったのだ…!」
「…え?」
官兵衛は思わず聞き返し、いつもの癖で一歩後ずさった。
「両手の塞がった貴様でも脱がせやすいようにとこの水干の下には何も着けておらぬ…それを見抜くとは……き、貴様もやはりその気か…!」
「なっ、なにいいいい!?」
よく見れば、元就は本当に頭から被る水干しか身につけていないようで、座っている正面の姿からではわからなかったが、脇やら脚やらチラリズムどころではない露出だった。
官兵衛はただ、決戦前に言った自分の言葉を比喩として元就に伝えたかっただけだが、あらぬ誤解が生まれていることを漸く知った。否、今まで散々セクハラを受けてきた相手に対して「丸裸」など軽々しく口にすればどうなるかなんてわかりきっていたことだ。
「毛利!言っておくが小生にそんな気はっ…」
「だが貴様に丸裸にされるならば我も本望…」
「何故脱ぐんじゃああーーー!!」
白昼堂々、一枚だけ被っていた水干を脱ぎ捨て、彫刻のような裸体を青空の下に晒す元就に、官兵衛は段々頭が茹だってきた。
「あ…あああ…くそ…」
そんな官兵衛などお構いなしに近付いてくる元就は、見た目だけで言えば天上に住まう女神のようであった。
しかし男である。こればかりは間違えてはいけない。
「駄目だっ、小生は…っ」
「黒田…」
「うっ…!」
太い腕にやわな手つきでさわさわと触れてくる元就に、官兵衛は致命的にも逃げる機会を失った。布切れ一つ身につけていない元就の素肌が何故か眩しい。
「う…うう…」
官兵衛はぶるぶると震え出した。
「…黒田…」
「うう…う…う…、」
元就が官兵衛の二の腕にぴったりと頬を寄せる。前髪に隠れて元就からは見えない両目は、官兵衛の心情を表すかのようにぐるぐると回っていた。
可愛いと感じている?元就を?
見下ろせば、すっきりと通った鼻筋と可憐な睫毛が見えた。少し口角の上がった小さな唇が官兵衛の腕に触れる。
元就は男で興味の対象外だ、元就は、元就は――――もう知るか!
「う……うおおおおおおおおお!!」
官兵衛は突然咆哮した。
「ああ…っ!」
「おおおおおおおおおおお!!」
ヤケクソだった。官兵衛は床の上に元就を押し倒した。
極度の混乱に陥った官兵衛に組み敷かれ、犯される、と言いながらも自ら脚を広げる全裸の元就は、どうにも普段の元就だった。そもそも元就を探して厳島まで来たことが既に、この結末への始まりだったのだ。そう考えれば、関ヶ原の一戦で負けたのもわざとで、全てが元就の作戦だったのではないかと思わずにいられない。
暫くして、手枷の鍵の情報を掴んだ風魔が官兵衛を追って厳島の大鳥居に降り立ったが、何故じゃあーー!!と叫びながら猛烈な勢いで腰を振る官兵衛を見つけ、無言で頷くとそっと姿を消した。
なんか、親就と黒毛で、でもクロカンは男の元就には興味ないから必然的に親就→黒になる…みたいな関係が好きっぽいです
そんな現パロ(高校大学どちらでも)
あとアニキは、大谷くんと三成がデキる一歩手前と知らずに家康と三成の仲を取り持ってあげようとしているといいな…家康は三成のこと好きだけど友達としてだからアニキの好意は純粋に嬉しい
アニキは常に空回ってるなほんと
そして最終的に全ての不運を被るのがクロカンすぎて泣ける…
拍手ありがとうございます!!今日帰ったらお返事させてください´▽`*ノシ
**********************
夏休みは、家康と独眼竜と慶次とサヤカと鶴の字と旅行に行く。夏休み前の最終登校日、あんたもどうだ、と誘った元親に、三成は眉を吊り上げた。
「貴様…家康も参加する旅行にこの私を誘うだと…?秀吉様っ、この者を斬滅する許可を私に…!!」
「なんでだよ!?」
突然激怒した三成に驚いたが、彼が一方的に家康を敵視しているのは元親も知っている。だからこそ二人に仲良くして欲しくて、元親は彼を誘ったのだが。
「それに夏休みは刑部の実家へ行く。故に貴様も家康と共に野垂れ死ね!」
「はいよ…また何かあったら誘わせてくれや」
先約があるなら仕方がない、と頭を掻いた元親だったが、表情を一変させると斜め下を見下ろしながら「だがテメェのことは何があってもぜってー誘わねぇけどな」と吐き捨てた。首を傾げる三成が元親の視線の先を追うと、そこは元就の席だった。
「既に徳川と女巫から執拗に誘われているが全て断っておる。今更貴様に誘われた所で我が行く筈なかろう」
「なっ…こいつだけは誘うなって言ったのに…!」
元親は家康と鶴姫を思い浮かべて焦った。執拗にと言うことはもう何度も元就と話していると言うことではないか。
どうしても行きたいなら連れて行ってやっても良いけど、と続ける筈だったが、思わぬ事実に元親はうろたえた。
三成は二人の関係をよく知らないが、自分には無関係であるとわかると興味もなく無言でその場を去って行った。
「それに、貴様等が旅行を計画している日に我は先約がある」
「なんだって?」
故に貴様等の旅行には付き合わぬ、と宣言する元就の机に身を乗り出し、元親がいきんだ。
「誰との先約があるってんだ!」
「貴様には関係なかろう」
「…ぐっ…」
しかし元親は食い下がる。
「あ、あんた友達いねえだろ!先約なんて嘘つくんじゃねえっ」
「貴様余程死にたいらしいな…」
「いいから答えろよ!」
周りのクラスメートが、必死な元親に目を丸くしていた。しかし元親は気にかけている余裕もなく元就に詰め寄った。
「なんぞ貴様は!鬱陶しいっ」
「テメェが答えねえからだろうが!」
「…黒田と映画に行くのだ!これで満足か!」
「な……………」
苛立ちを隠さず眉間に皴を寄せながら叫んだ元就に元親は絶句した。
黒田と映画。まさかのダークホースの出現に元親は脳天に直撃を受けた。
「な…黒田って…」
「あれがどうしても見たいと言う映画のチケットが手に入ったのだ。もうよいであろう、いい加減下がれ」
「………………」
おまけに「あれ」呼び。こんなにも仲の良い所を見せ付けられて引き下がる元親ではない。
そもそも旅行だって元親が誘って元就も参加することを前提にプランを考えていたし、元親は自分が誘えば元就は絶対に来ると思っていたのだ。しかし唯一の誤算は、元親が元就の前では極度にツンデレ化することであった。
「……お、俺も行く」
「は?」
「俺もっ、映画に行く!!」
「なっ…」
元就の両目が見開かれた。
「貴様は旅行に…はっ、先程からのそのしつこさ、まさか貴様も黒田のことを…!」
「も!?も、って何だよっ…あああ益々旅行なんて行ってらんねぇ!俺はここに残ってあんたらと一緒に映画に行くからな!もう決めた!」
「なっ、き、貴様と黒田では画面的にむさ苦しいであろうが、諦めよ!その点我とならば美女と野獣で…」
「意味わかんねーよ誰が諦めるかっ!」
後ほど、元親は孫市から旅館のキャンセル料と仲間にかかる迷惑について怒られ頭を叩かれたが、こればかりは譲れない…そんな信念に駆られ旅行不参加を決意したのだった。
そんな現パロ(高校大学どちらでも)
あとアニキは、大谷くんと三成がデキる一歩手前と知らずに家康と三成の仲を取り持ってあげようとしているといいな…家康は三成のこと好きだけど友達としてだからアニキの好意は純粋に嬉しい
アニキは常に空回ってるなほんと
そして最終的に全ての不運を被るのがクロカンすぎて泣ける…
拍手ありがとうございます!!今日帰ったらお返事させてください´▽`*ノシ
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夏休みは、家康と独眼竜と慶次とサヤカと鶴の字と旅行に行く。夏休み前の最終登校日、あんたもどうだ、と誘った元親に、三成は眉を吊り上げた。
「貴様…家康も参加する旅行にこの私を誘うだと…?秀吉様っ、この者を斬滅する許可を私に…!!」
「なんでだよ!?」
突然激怒した三成に驚いたが、彼が一方的に家康を敵視しているのは元親も知っている。だからこそ二人に仲良くして欲しくて、元親は彼を誘ったのだが。
「それに夏休みは刑部の実家へ行く。故に貴様も家康と共に野垂れ死ね!」
「はいよ…また何かあったら誘わせてくれや」
先約があるなら仕方がない、と頭を掻いた元親だったが、表情を一変させると斜め下を見下ろしながら「だがテメェのことは何があってもぜってー誘わねぇけどな」と吐き捨てた。首を傾げる三成が元親の視線の先を追うと、そこは元就の席だった。
「既に徳川と女巫から執拗に誘われているが全て断っておる。今更貴様に誘われた所で我が行く筈なかろう」
「なっ…こいつだけは誘うなって言ったのに…!」
元親は家康と鶴姫を思い浮かべて焦った。執拗にと言うことはもう何度も元就と話していると言うことではないか。
どうしても行きたいなら連れて行ってやっても良いけど、と続ける筈だったが、思わぬ事実に元親はうろたえた。
三成は二人の関係をよく知らないが、自分には無関係であるとわかると興味もなく無言でその場を去って行った。
「それに、貴様等が旅行を計画している日に我は先約がある」
「なんだって?」
故に貴様等の旅行には付き合わぬ、と宣言する元就の机に身を乗り出し、元親がいきんだ。
「誰との先約があるってんだ!」
「貴様には関係なかろう」
「…ぐっ…」
しかし元親は食い下がる。
「あ、あんた友達いねえだろ!先約なんて嘘つくんじゃねえっ」
「貴様余程死にたいらしいな…」
「いいから答えろよ!」
周りのクラスメートが、必死な元親に目を丸くしていた。しかし元親は気にかけている余裕もなく元就に詰め寄った。
「なんぞ貴様は!鬱陶しいっ」
「テメェが答えねえからだろうが!」
「…黒田と映画に行くのだ!これで満足か!」
「な……………」
苛立ちを隠さず眉間に皴を寄せながら叫んだ元就に元親は絶句した。
黒田と映画。まさかのダークホースの出現に元親は脳天に直撃を受けた。
「な…黒田って…」
「あれがどうしても見たいと言う映画のチケットが手に入ったのだ。もうよいであろう、いい加減下がれ」
「………………」
おまけに「あれ」呼び。こんなにも仲の良い所を見せ付けられて引き下がる元親ではない。
そもそも旅行だって元親が誘って元就も参加することを前提にプランを考えていたし、元親は自分が誘えば元就は絶対に来ると思っていたのだ。しかし唯一の誤算は、元親が元就の前では極度にツンデレ化することであった。
「……お、俺も行く」
「は?」
「俺もっ、映画に行く!!」
「なっ…」
元就の両目が見開かれた。
「貴様は旅行に…はっ、先程からのそのしつこさ、まさか貴様も黒田のことを…!」
「も!?も、って何だよっ…あああ益々旅行なんて行ってらんねぇ!俺はここに残ってあんたらと一緒に映画に行くからな!もう決めた!」
「なっ、き、貴様と黒田では画面的にむさ苦しいであろうが、諦めよ!その点我とならば美女と野獣で…」
「意味わかんねーよ誰が諦めるかっ!」
後ほど、元親は孫市から旅館のキャンセル料と仲間にかかる迷惑について怒られ頭を叩かれたが、こればかりは譲れない…そんな信念に駆られ旅行不参加を決意したのだった。
黒毛っていうかもう完全に黒←毛ですが…><
土曜に行われたレイパーズ会合で散々語り合ったネタなんですが、マッチョ好き元就にセクハラを受ける不憫カンベです
今からジョシーの逆襲が楽しみで仕方ないです><
「話は以上だ。いいな、私を絶対に裏切るな」
いつもの文言で軍議を締め括った三成は、「苦労をかけるな」とフォローする大谷と共に本陣を出て行った。
三成がいなくなったことで開放的な表情で煮立った鍋を抱きしめる小早川には目も暮れず、人の少なくなった本陣で元就は官兵衛へと視線を向ける。官兵衛の背筋には何故か悪寒が走った。
「なんか寒くなってきたな…」
「ならば暖めあうか…?」
「え?…うわ!」
官兵衛は驚いた。いつの間にか元就が目の前にいた。
元就が右手を伸ばしてきたことに咄嗟に「殴られるか!?」と身構えた官兵衛だったが、さわさわと左の二の腕辺りを撫でられる感触にそちらを見た。
「な、なんだよ…」
「……太い腕よな」
「………………!?」
官兵衛は今度こそぶるるっと大袈裟に体を震わせると、勢いよく後ずさった。
「しょ、小生は用事を思い出した…」
「そうか、ならば我も付き合おう」
「!?い、いや…一人で十分間に合う用事だから…」
「ならば金吾に行かせよう。貴様は我とここに残るがよい…」
「……っ……っ……」
元就の妖艶な笑みにはどうしてか眩暈を覚えるか、これ以上二人きりでここにいてはいけないと、官兵衛の直感が告げている。小早川はいるが、この男がいざと言う時に役に立つ筈がない。
最近、元就の態度が自分にだけ違うということに官兵衛は気付いていた。豊臣政権時代の官兵衛に対しては殆ど眼中にないような冷たいそぶりばかりだったのに、まるで蛇のようなじめじめした生温く執拗な視線を主に股間や胸板へ感じるようになったのは、三成と大谷に穴蔵へと落とされてからだ。
わからない。官兵衛には元就の思惑がわからない。
「あ!!あんな所に日輪の化身が!あれはもしやアマテラス殿じゃないか!?」
「なにっ!?」
「よし、この隙に…ってうおおおおおお」
とりあえず日輪で釣ってみれば元就は見事に引っ掛かった。元就が気を取られている内に逃げようと鉄球を跨いだ瞬間、鎖に引っ掛かって官兵衛は鉄球と共に転がった。
「くっ…毛利と言い手枷と言い鉄球と言い…何故じゃああっ何でこうなるんだあああーーーー!!」
官兵衛の絡まった鉄球は止まることを知らず猛スピードで転がっていく。後ろの方で元就が何かを叫んでいたが、官兵衛には聞いている余裕などなかった。
土曜に行われたレイパーズ会合で散々語り合ったネタなんですが、マッチョ好き元就にセクハラを受ける不憫カンベです
今からジョシーの逆襲が楽しみで仕方ないです><
「話は以上だ。いいな、私を絶対に裏切るな」
いつもの文言で軍議を締め括った三成は、「苦労をかけるな」とフォローする大谷と共に本陣を出て行った。
三成がいなくなったことで開放的な表情で煮立った鍋を抱きしめる小早川には目も暮れず、人の少なくなった本陣で元就は官兵衛へと視線を向ける。官兵衛の背筋には何故か悪寒が走った。
「なんか寒くなってきたな…」
「ならば暖めあうか…?」
「え?…うわ!」
官兵衛は驚いた。いつの間にか元就が目の前にいた。
元就が右手を伸ばしてきたことに咄嗟に「殴られるか!?」と身構えた官兵衛だったが、さわさわと左の二の腕辺りを撫でられる感触にそちらを見た。
「な、なんだよ…」
「……太い腕よな」
「………………!?」
官兵衛は今度こそぶるるっと大袈裟に体を震わせると、勢いよく後ずさった。
「しょ、小生は用事を思い出した…」
「そうか、ならば我も付き合おう」
「!?い、いや…一人で十分間に合う用事だから…」
「ならば金吾に行かせよう。貴様は我とここに残るがよい…」
「……っ……っ……」
元就の妖艶な笑みにはどうしてか眩暈を覚えるか、これ以上二人きりでここにいてはいけないと、官兵衛の直感が告げている。小早川はいるが、この男がいざと言う時に役に立つ筈がない。
最近、元就の態度が自分にだけ違うということに官兵衛は気付いていた。豊臣政権時代の官兵衛に対しては殆ど眼中にないような冷たいそぶりばかりだったのに、まるで蛇のようなじめじめした生温く執拗な視線を主に股間や胸板へ感じるようになったのは、三成と大谷に穴蔵へと落とされてからだ。
わからない。官兵衛には元就の思惑がわからない。
「あ!!あんな所に日輪の化身が!あれはもしやアマテラス殿じゃないか!?」
「なにっ!?」
「よし、この隙に…ってうおおおおおお」
とりあえず日輪で釣ってみれば元就は見事に引っ掛かった。元就が気を取られている内に逃げようと鉄球を跨いだ瞬間、鎖に引っ掛かって官兵衛は鉄球と共に転がった。
「くっ…毛利と言い手枷と言い鉄球と言い…何故じゃああっ何でこうなるんだあああーーーー!!」
官兵衛の絡まった鉄球は止まることを知らず猛スピードで転がっていく。後ろの方で元就が何かを叫んでいたが、官兵衛には聞いている余裕などなかった。
尼子たんが不憫攻ですがそれでも良ければ><
話的に多分3のネタバレあり。
尼子→→→→×∞→→→元就です。
ちなみに尼子たんは童貞である…
あと尼子たんの「俺の若草」呼びは木馬さんがおっしゃっていたのがツボだったので使わせていただきました><ウオオオオ若草あああああああ!!!!!
大谷との約束を果たさんと足を踏み入れたのは尼子の領地だった。久しくきていなかったそこは、記憶にある頃よりも一層何もなくなったように見える。今の領主は経久の孫の晴久であったはずだが、姿がない。
一面の砂の海。―――面倒な所に来てしまったな、と後悔した元就だったが、仕方がないと歩きだした。
「待ちな!」
どこからか声が聞こえ、元就は一度立ち止まった。が、聞き覚えのある声だったので無視して歩を進めた。
「ま、待てと言っている!」
「この我がわざわざ出向いてやっているのに貴様いつまで隠れているつもりだ。潜ませた兵も退けよ!」
「うっ」
不機嫌を隠さない元就の厳しい声に慌てたように砂の中から飛び出した男こそが、この砂の国の領主、尼子晴久その人であった。
蛆虫でも見るような冷めきった双眸を向けてくる元就に内心びくつきながらも、勝ち気な笑みを浮かべて砂の上に降り立った。
「わざわざ出向いてまで俺に逢いたかったのか…可愛い奴だ」
「違う」
何を勘違いしているのか、頬を染めながら近付いてくる晴久に、元就は武器の輪刀を構える。しかし次の瞬間砂が舞い、元就の前から晴久の姿が消えた。
「ああ…俺の若草」
「!」
元就は真後ろから声が聞こえてすぐに輪刀を薙いだが、砂を切っただけだった。
「お前に逢えない時間と比べれば、千夜の孤独の方がずっとマシぐあっ」
「鬱陶しい!」
しかし今度は声が聞こえた瞬間に輪刀を二つに割り、一回転しながら双刀を振り回せば、確かな手応えを感じた。
「俺の若草!」
「煩い喚くな。さっさとこの地を明け渡せば命だけは助けてやる」
「若草…」
どうやら晴久は若い頃の思い出を引きずっているらしいのだが、中国地方を統一した稀代の智将元就がいつまでも晴久の若草であるはずがない。水の少ない地で脳みそまで干からびたか、と吐き捨てた元就は、興味を失せたように晴久から視線を逸らした。
「直にここへ大谷吉継が来る。国を滅ぼしたくなければ降伏せよ」
「…若草…だがそればかりは…っ」
「経久に免じて情けをかけてやると申しておるのが解らぬのか」
「……………」
祖父の名前を出せば、晴久は動きを止めた。元就に異常なまでの好意を寄せているが為に、晴久の前で経久の名前を呼べばかえって話が拗れるのだが、久しぶりに元就から会いに来た形となった今回ばかりは良い意味で裏目に出たらしい。
「…相変わらず俺の若草は素直じゃねえ…だがそれが良い!」
「何を申しておる」
意味が解らないことを声高に叫んだ晴久に、元就は眉間に皴を寄せた。いい加減、降伏するのかしないのか、その答えが知りたい。
「心配しなくても俺は死なない…お前の処女を頂くまではな!」
「我は処女ではない」
「……え」
しかし盛り上がったのもつかの間、元就の言葉に完全に固まった晴久に、元就が更に追い討ちをかけた。
「そもそも貧相な貴様になど誰が興味を持つか…我が名門は身長六尺以上の巨漢にのみ開門を許しておる!調子に乗るでない!」
元就の雄々しい美声が砂漠に響き渡った。晴久は自らも儚く砂と化した。
後に、待ち合わせしていた大谷に「何やら開門がどうとかと聞こえたが…」と尋ねられたが、元就は「国家機密よ」と宣ったのだった。
話的に多分3のネタバレあり。
尼子→→→→×∞→→→元就です。
ちなみに尼子たんは童貞である…
あと尼子たんの「俺の若草」呼びは木馬さんがおっしゃっていたのがツボだったので使わせていただきました><ウオオオオ若草あああああああ!!!!!
大谷との約束を果たさんと足を踏み入れたのは尼子の領地だった。久しくきていなかったそこは、記憶にある頃よりも一層何もなくなったように見える。今の領主は経久の孫の晴久であったはずだが、姿がない。
一面の砂の海。―――面倒な所に来てしまったな、と後悔した元就だったが、仕方がないと歩きだした。
「待ちな!」
どこからか声が聞こえ、元就は一度立ち止まった。が、聞き覚えのある声だったので無視して歩を進めた。
「ま、待てと言っている!」
「この我がわざわざ出向いてやっているのに貴様いつまで隠れているつもりだ。潜ませた兵も退けよ!」
「うっ」
不機嫌を隠さない元就の厳しい声に慌てたように砂の中から飛び出した男こそが、この砂の国の領主、尼子晴久その人であった。
蛆虫でも見るような冷めきった双眸を向けてくる元就に内心びくつきながらも、勝ち気な笑みを浮かべて砂の上に降り立った。
「わざわざ出向いてまで俺に逢いたかったのか…可愛い奴だ」
「違う」
何を勘違いしているのか、頬を染めながら近付いてくる晴久に、元就は武器の輪刀を構える。しかし次の瞬間砂が舞い、元就の前から晴久の姿が消えた。
「ああ…俺の若草」
「!」
元就は真後ろから声が聞こえてすぐに輪刀を薙いだが、砂を切っただけだった。
「お前に逢えない時間と比べれば、千夜の孤独の方がずっとマシぐあっ」
「鬱陶しい!」
しかし今度は声が聞こえた瞬間に輪刀を二つに割り、一回転しながら双刀を振り回せば、確かな手応えを感じた。
「俺の若草!」
「煩い喚くな。さっさとこの地を明け渡せば命だけは助けてやる」
「若草…」
どうやら晴久は若い頃の思い出を引きずっているらしいのだが、中国地方を統一した稀代の智将元就がいつまでも晴久の若草であるはずがない。水の少ない地で脳みそまで干からびたか、と吐き捨てた元就は、興味を失せたように晴久から視線を逸らした。
「直にここへ大谷吉継が来る。国を滅ぼしたくなければ降伏せよ」
「…若草…だがそればかりは…っ」
「経久に免じて情けをかけてやると申しておるのが解らぬのか」
「……………」
祖父の名前を出せば、晴久は動きを止めた。元就に異常なまでの好意を寄せているが為に、晴久の前で経久の名前を呼べばかえって話が拗れるのだが、久しぶりに元就から会いに来た形となった今回ばかりは良い意味で裏目に出たらしい。
「…相変わらず俺の若草は素直じゃねえ…だがそれが良い!」
「何を申しておる」
意味が解らないことを声高に叫んだ晴久に、元就は眉間に皴を寄せた。いい加減、降伏するのかしないのか、その答えが知りたい。
「心配しなくても俺は死なない…お前の処女を頂くまではな!」
「我は処女ではない」
「……え」
しかし盛り上がったのもつかの間、元就の言葉に完全に固まった晴久に、元就が更に追い討ちをかけた。
「そもそも貧相な貴様になど誰が興味を持つか…我が名門は身長六尺以上の巨漢にのみ開門を許しておる!調子に乗るでない!」
元就の雄々しい美声が砂漠に響き渡った。晴久は自らも儚く砂と化した。
後に、待ち合わせしていた大谷に「何やら開門がどうとかと聞こえたが…」と尋ねられたが、元就は「国家機密よ」と宣ったのだった。